* “パニパニ”とは宮古島の方言で「元気いっぱい!」という意味なのだ  

2004.11.2




「 島尻・パーントゥを見に行く 」

 


パーントゥとはこんな奴

 島尻集落に伝わる奇祭「パーントゥ」を見にいってきました。
「パーントゥ」とは、「おばけ」「鬼神」の意味。
キャーンというつる草を体に巻きつけ、お面を付け、体中全身に泥を塗った生き物(?)で、パーントゥに泥を塗られると、厄除けになるとか無病息災などの言い伝えがあります。
内地で言う所の「泥んこ祭り」と「なまはげ」の合体した感じでしょうか。

当然宮古のちびっ子たちは「パーントゥ」を恐れています。
祭り当日、いつもは一人で元気に保育園に通っている友人の子供も「お母さん今日はパーントゥに道で襲われたらどうすればいい・・・?」と一人での通園をどんよりと怖がっていたという・・・かわいい!

ダイジョーブ!島尻から平良市内は遠いからね。まさか泥んこで車に乗って市内まで来る事なんてね。
そんなわけで、大人の私はパーントゥを怖がるはずも無く、パーントゥに会いたい一心で遠路はるばる島尻まで車を走らせたのでありました。

 

 その日は激しい雨が降ったりやんだりのあいにくの天気。仕事帰りに島尻へ着く頃にはすっかり日は落ち、薄暗い光景。
しかも、パーントゥの姿は見えないのに、何故か野良犬が激しく吠えて逃げて来たり、牛小屋では牛がモーモー騒いでいて不気味な雰囲気。なんだか私まで恐ろしくなってしまった・・・。でも車を停めて外に出なきゃ始まらない。
交通整理にあたっていたお巡りさんに駐車場所を尋ねると「ああ、泥塗られたくなければ、あっちまで行って停めてね。塗られても構わないならこの辺でいいさあね」・・・見ると何とパトカーにまで、べったり泥が塗られている。
やる〜!決して権力に屈しないパーントゥに早く会いにいかなきゃ!私もすぐさま、その場に車を乗り捨て集落の方へ歩いて行ってみる。

集落内の地理も広さも分からないので、ディズニーランドでミッキーに中々会えないの同様に果たしてパーントゥに会えるのかとふと不安になってくる。
すると、「わ〜!!」との悲鳴と共に子供達が坂の上から走って逃げてくる。
来た!その後ろからは、パーントゥだ。おお!早速会えた!ラッキー☆



逃げろ〜!集落中の鬼ごっこみたい!

 パーントゥの周りには宮古テレビや新聞社のカメラマンもたくさん取材に来ている。私もその「パーントゥと逃げる子供達」の様子を写真に収めようと颯爽と カメラを構えシャッターチャンスを待つ。
すると何故か、カメラ越しにのぞくパーントゥがどんどん私めがけて迫って来るではないか! え!えぇ〜!まさか!?
子供達を追いかけて、私の前を走り去っていくはずだったパーントゥは、逃げる間もなくみるみる迫って来ると、私をつかまえると容赦なく顔に頭にと泥を塗りつけて行ったのであった。デ、デジカメがあ〜・・・!!(涙)

しかもその様子は、まんまとテレビ局のカメラに収まり夕方のニュースでしっかり流れていたと言うおまけ付き。あ〜恥ずかしい!
パーントゥは1993年、国の重要無形民俗文化財にも指定され結構全国から取材陣も多い。
襲われた時悲鳴を上げたせいで歯まで泥がついて真っ黒の私を見つけるとすかさず寄ってきて「いや〜すごい泥ですがパーントゥのご感想は?」などとインタビューまでされる始末。私も取材だっちゅうに。
挙句に、島尻の子供達にまで「このねぇーねぇーこそパーントゥだ!」と後ろ指をさされ追いかけられる屈辱。

そして極めつけは、行きに通った牛小屋で、私を見た牛達がギョっとしてまたもや、モーモー泣き出す始末。牛のギョっとした表情・・・初めて見ましたね。
その後も通りすがりの人、会う人会う人に「すごいね〜」と声をかけられ、好奇の視線に耐えられなくなったシャイな私はいたたまれなくなって早々に車に引き上げたのでした。


次の瞬間目があったら襲われた!

ウォ!やられたー


 友人を待っている間も、近くの停車中の車にパーントゥが寄ってきてフロントガラスにドアにと体中を使って泥を塗りたくっている。よく見ると車の中には子供が乗っていて泣き叫んでいるではないか。
幼い頃家族でサファリパークに行って、我が家の車の前に熊だ立ちはだかり、このカギが開けられたら一貫の終わりだ・・・ととてもコワイ思い出した。あのちびっ子も今、車の中でさぞコワイ思いしてるんだろうなあ。
しかし自分が笑われたのはさておき、他人がパーントゥに襲われている様を見るのはおもしろい。

その後無傷で帰ってきた友人はなんだか物足りなさそう。せっかく行ったのだから、めいいいっぱい厄落とししなきゃね。
あとでニュースで見ると、パーントゥは集落を廻る前に、フツムトゥ(拝所)で祈願したり、野外で集まって宴会をしている人達の輪に入りお酒ををもらって酔っ払って(フリ?)ごろ〜ん!とそのおじいのひざの上に転がって泥を塗りたくってあげたりと容赦ない暴れよう。
まあ、泥を塗るのは祈願の意味だからお酒をもらったお礼になるのかな?その他、新築の家や、赤ちゃんの生まれた家などはもれなく廻り、壁に襖に畳にと存分に幸せの泥を塗っていくのでした。
新築の畳が〜!でも家主さんはニコニコ嬉しそう。おおらかでいいなあ。
 


車もうっかり駐車しておくとこんな事に・・・

そ、そこまでやるかパーントゥ



 それとこれもテレビを見て後で知ってちょっぴりショックだったのが、パーントゥが塗っている泥の正体。赤ちゃんとかにも塗るものだから、私はてっきり、ミネラルたっぷりのエステ顔負けの衛生的な泥使用かと思いきや・・・ウマリガー(生まれ井戸)と呼ばれる井戸に蓄積された泥を汲み出してまんま使っている。どうりで臭かったよ〜!
まあ、ウマリガー(生まれ井戸)というだけあって、昔赤ちゃんが生まれたときの産湯の水にここの井戸水が使用されていたという聖なる井戸ではあるようですが・・・。

皆さんも機会があったら是非このお祭り参加して見ては。
集落中を使った鬼ごっこみたいで童心に帰って楽しかったなあ〜!どこかのお寺で高いお金を払っての厄払いもいいけれと、こんな楽しみながらの厄払いの方が、私は本当に厄が逃げて行ったような実感ができました。


これで一家安泰!赤ちゃんだけが
意味もわからず迷惑顔

観光客にも容赦なく襲い掛かります
 

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