ゴールデンウィークに入り、島全体が少し賑わいを見せ始めている。
すれ違う車もレンタカーの「わ」ナンバーが増え、大好きなカレー屋「茶ノ間」も駐車に困るほどだった。夏が少しづつ、しかし着実に近づいていた。季節感のないこの島で、季節の移り変わりを感じさせる出来事だった。

 植物たちは、もっと敏感に季節の変化を感じているようだ。


『MY YE LAI XIANG』

 今、テッポウユリが満開を迎えている。海の側でよく見られ、横から見ると鉄砲のように見える(ぼくはラッパの方が似ていると思うんだけど)。甘くさわやかな香りも特徴だ。東平安名崎の大群落もこのゴールデンウィークが見頃だろう。

 先日、友だちが、ユリは夜になると香りが増すことを教えてくれた。なんて妖艶で神秘的な花だ!夜にも虫は鳴いているし、光に集まってくる。夜行性の虫も多いだろう。日が沈むとともに萎んでしまう花がある一方、こんなふうに咲いているユリは、きっと多くの虫たちを魅了しているだろう。

 ぼくは、家に持ち帰り、花瓶に挿して、花を楽しんでいる。白く長い6片の花びら、6本の鮮やかな黄色いおしべ、めしべの先端には花粉を逃すまいとねっとりとした粘液が付いている。夜が更けるにつれて、だんだん独特の香りが広がっていき部屋中を満たしていった。

 ぼくはふと、畠山美由紀の『YE LAI XIANG(夜来香)』という曲を思い出した。ぼくが生まれるずっと前に相当流行した曲のカバーだ。
 YE LAI XIANGはユリではないのだけど、歌詞を聞いていると、目の前のユリを歌ってると思ってしまう。彼女は一部中国語で歌っていて、その言葉の響きがなんともしなやかで美しく、ユリの香りをより一層を漂わせていた。

   あわれ春風に 嘆くうぐいすよ
   月に切なくも 匂う夜来香(イェイライシャン) この香りよ
   長き夜の泪 唄ううぐいすよ
   恋の夢消えて 残る夜来香 この夜来香
   夜来香 白い花 夜来香 恋の花
   胸いたく 歌哀し